その昔、江戸時代では髪を結ったり切ったりする時に今のような床屋は存在しなかった。
移動可能なような場所を設け、そこで散髪したり髪を結ったりしたという。
この場所を床を設けるところから「床店(とこみせ)」と呼ばれるようになり、それが現在の床屋になったという説が有力だ。
現在の日本の床屋は1000円という破格の値段のところから5桁するところまで様々な種類がある。
またシャンプーや顔剃りなどが別料金となっており、自分で選べる床屋も多い。
そして何の意味があるのかは不明だが、10秒ほどの肩もみ(マッサージ)を施してくれる店もかなりある。(いつもどうせならもっとやってくれればいいのに…と思ってしまうが)
まあ、日本はサービス面では世界でもトップクラスだから常にお客様目線で物事を考える習慣がある。
私はアメリカの床屋についてあまり良い話を聞いた事がなかった。洗わずにずっと同じはさみを使い続けるとか、左右対称には決して切ってもらえないなど言われているからだ。
実際、アメリカの床屋では未経験のアルバイトも多く、採用されるのにテストなども行わないことが多いため、担当する店員によって恐ろしいほどの実力差がある。
そんな私がアメリカ在住時代、帰国前に思い出作りと恐いもの見たさで初めて行ってみた時の話。
店に入ると
「予約は?」と聞かれ、
「(予約必要なの?と思いながら)いえ、ないですけれど。」
「じゃあ30分くらいしたらまたきてね。バイバイ。」
というやりとりがあり、でやや拍子抜け。30分してまた戻り、いよいよ鏡の前の椅子に座った。すると何やら隣の客と店員が口論しているようだったので見ると、驚く事なかれ、30分前に来た時にいた長くてきれいな髪の客はすでにこの世に存在しておらず、何とも中途半端に髪をバッサリと切られ悲惨な髪になった人(注:同一人物)が座っているではないか。長いサラサラヘアーからブロッコリーになった感じだ。
「何でこんなに切るのよ!これどうしてくれるわけ!」
怒る客。当然。
「そんな事言われてももう遅いわよ!それにこれがあなたにベストの髪型よ!」
何故か逆ギレのおばさん店員。
結局5分ほどの口論の後、何と客が敗北し
「そうね、見慣れたら悪くはないわね。」
と言い残し帰っていった。「見慣れたら」ってちっとも解決になってないんですけれど、、。
そして「さてこの若者はどう料理しようかしら」と言わんばかりの表情でこちらに近づいて来るおばさん店員。
まさにまな板の上の魚!もはや逃げられず!
覚悟を決めかけたその時、
若い女の子店員が出勤してきて、その子が見事な腕前で切ってくれ何とかピンチを脱出した。
もう絶対に行きません。